先日、「触手話(しょくしゅわ)」についての講演会(国立情報学研究所)に参加しました。

触手話は、盲ろう者(視覚と聴覚の両方に障害がある方)が使うコミュニケーション方法です。

相手の手に自分の手を重ね、触って手話を読み取るので「触手話」(話す時は逆になる)。

触手話講演会チラシ

この講演会、使用言語が「国際手話」。

スウェーデンの研究者が国際手話で講演し、それを日本手話に訳して、さらにそれを日本語(音声言語)に訳すというスタイル(盲ろう者にはそれぞれ触手話の通訳者がつきます)。

まどろっこしそうに聞こえますが、これがなかなか良いものでした。

私は「ありがとう」ぐらいしか手話ができないので(笑)、手話で話されている時には、内容は理解できません。

しかしながら、手話は身振りや表情が大きく、その豊かな表現を見ているだけで飽きません。

また、訳すために話が区切られ、ゆっくり進むので、ついていけなくなることがありません。

手を上下左右と大きく空間を使ってイメージを伝えることや、疑問形や相づちの方法など、実際に盲ろう者同士が会話しているビデオを見せてもらいながら教えてもらいました。


盲ろう者のコミュニケーションというと、ヘレン・ケラーの話で有名な、相手の手のひらに指で文字を書く方法を思い浮かべるかもしれませんが、この触手話のように他の方法もあるんです。

(全く余談ですが、私は、ヘレン・ケラーの伝記ではなく、演劇少女マンガ「ガラスの仮面」を読んで「指で文字を書く方法」を知ったので、マンガの普及力は侮れないと思う今日この頃です(^-^;))。


触手話は、元々聴覚障害があるために手話を使用していた人が、その後、視覚障害にもなった場合に使うことが多いです。

逆に元々視覚障害があって点字を使用していた人が、その後聴覚障害にもなった場合は、相手の指の上に自分の指を重ね、点字と同じようなルールで相手の指の上をトントンと叩く「指点字」を使うこともあります(どのようなものかは「東京盲ろう者友の会」のホームページの「コミュニケーションの方法の詳細」に写真があるのでぜひご覧ください)。


自然史博物館に勤めていた時、新人研修で視覚・聴覚障害者施設に行ったことがあります。

初めて指点字でコミュニケーションしている様子を見て、その超速さにおののき、こんなのできたらかっこいいな~と(その場にいた研修生みんなが)思ったのですが、私はどうにも言語は不得意で、英語だけでヒーヒー言っているので残念ながら未だ全く(-_-メ)


触手話と指点字の動画は7分45秒から(「知ってください 盲ろうについて」東京都盲ろう者支援センター

経験年数など人それぞれですが、実際の会話を見ていると動画よりもっと速い人が多いです。


この指点字を使う東京大学教授の福島智さんの講演会にも以前行ったことがあります。

盲ろうになると、とにかく外界からの情報が少ないことが困る、とお話されていました。

例えば、講演会で会場に着いた際も、自分はどんな大きさの部屋にいて、どんな人たちが何人ぐらいいるかなど、指点字で情報が伝えられなければほとんどわかりません。


なかなか盲ろう者と出会う機会が少ないので、その生活など想像しにくかったのですが、福島さんの「生きるって人とつながることだ!」という本を読んだら目からウロコ。

大学教授の障害の本なんて言うと、暗く・硬く・真面目の読む気がしない三拍子がそろったイメージだと思いますが、この本は福島さんの日常生活に関するエッセイ集で、(その脱力系?の性格からか)笑いながら盲ろう者の生活や困りごとがスルスルっと入ってきます。

文章が良い意味で大学の先生っぽくなく、小松左京などのSFが好きなことや食いしん坊だという話など、気軽に楽しめるので、特に障害に興味がない人含めて誰にでもハイパーおススメする1冊です。

品切れ中のようですので、図書館か古本でぜひ探してみてくださいヽ(^o^)丿


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「触手話」を英語で何というのか調べたら、「Tentacle story」と機械翻訳が教えてくれた。

それは、「触る手話」ではなく「触手(Tentacle)の話(story)」だろ...。

触手の話
国立科学博物館特別展「深海2017」にて撮影。


区切るところを間違えると、異次元の言葉に。

恐るべし機械翻訳(正解は「Tactile sign language」)。