秩父鉄道のSL「パレオエクスプレス」に乗って、埼玉県立自然の博物館に行ってきました。
熊谷駅に後ろ向きで登場のパレオエクスプレス(by Yoshiyuki Tamura)
「パレオエクスプレス」に乗りたかった理由は、その名前。
「パレオパラドキシア(Paleoparadoxia)」という化石にちなんでいるからです。
パレオパラドキシアは約1500万年前に生きていたほ乳類で、日本で一番この化石が見つかっている場所が埼玉県です。
見た目はカバみたいですが、「海苔巻きを束ねたような」歯が現在生きている動物にはないこともあり「奇獣」とも言われています。
パレオパラドキシアの歯。
色々な動物と似ているようでなんかちょっと違うことから、「太古の(パレオ)矛盾(パラドックス)」という名前がついています。
パレオパラドキシアの骨格標本。
こう聞くとかっこいいですが、「なんじゃこの生物!」という気持ちがにじみ出ている感じがします。
一般的にはティラノサウルスのような知名度はありませんが、この仲間の全身骨格は日本以外からあまり見つかっていないので、海外の研究者が日本に来たら見てみたい化石ナンバーワンとも言われています(以前の職場で、この仲間のデスモスチルスを特別展示したことがあります)。
そんな玄人好みの古生物をSL名にチョイスしたことにしびれます(´▽`*)
パレオエクスプレスの中は茶色の壁面と赤紫色の座席シートでなかなかシック。
ほとんどの人が降りた秩父駅を過ぎてから撮影したので、この写真はすいていますが。
ちなみに、「パレオエクスプレス」という名前ですが、時速20~30㎞でのんびり進みます(笑)。
スマートフォンのアプリで時速を計測。
パレオ(古代の)エクスプレスですからね...。
途中、武甲山(ぶこうさん)から採掘した石灰石を熊谷に運ぶ列車と何度もすれ違いました。
武甲山は太古のサンゴなどが作った石灰岩でできています。
採掘の跡の縞々が見える武甲山。
そして採掘された石灰石はみなさんのお近くにあるセメントの原料になります。
現在は海のない埼玉県ですが、そこここに太古の海の痕跡を見ることができます。
ちなみに、SLは埼玉県立自然の博物館の最寄駅「上長瀞(かみながとろ)」には停車しないので、妙にかわいい名前の「御花畑駅」まで行って、秩父名物「豚みそ丼」を食べて普通の列車で戻ってきました。
花ではなく、濃い味でとまらず10分で完食の「豚みそ丼」をいただく。
そして、戻る電車がラッキーにも「秩父ジオパークトレイン」。
アケボノゾウ(約150万年前に生きていたゾウ)やカルカロドン・メガロドン(約1000万年前に生きていたサメ)など、秩父から見つかった化石の復元図でラッピングされています。
電車の中に入ると、天井や壁にも絵がありました。
天井にも太古の海が描かれています。
これらの化石について、小学校低学年にもわかるような説明が書いてありました。
古生物好きにはたまりませんね(´▽`*)
秩父は地形や地質を楽しめる「日本ジオパーク」の一つとなっています。
「ジオパーク」は地質景観や自然を守るだけでなく、その土地の歴史や人の生活もひっくるめて教育や観光に活かしていくこと目的としているのが特徴です。
そんなわけで、鉄道含め地域で盛り上げている様子が伺われました。
パレオエクスプレスよりずっととばすジオパークトレインで上長瀞駅に到着。
そこから歩いて5分のところに埼玉県立自然の博物館があります。
シルバーの背景にカルカロドンの絵がカッコいい博物館の看板。
最初に紹介した、パレオパラドキシアやカルカロドンの標本がありました。
埼玉県で見つかった、全長12mにもなるビッグなサメの歯。
他にも「チチブサワラ」という約1500万年前に生きていたサワラのなかまの化石もありました。
マグロみたいに大きいですね。
写真の手前が化石なのですが、なかなかしっかしりた骨でした。
地質の展示が充実している博物館でしたが、「さわれるはく製コーナー」もあり、視覚障害を持っている方でも楽しめそうです。
イノシシやタヌキのはく製にさわれます。
お持ち帰りできる解説リーフレットや館内でできるクイズ、館外含めてのスタンプラリーなどカラーでたくさんの種類が用意してあり、特に興味のない方にもテンションが上がるようになっていました。
博物館の前には、えらく立派な「日本地質学発祥の地」の石碑が。
こんなところで写真を撮影するのは地質屋だけでしょうけれど。
「ナウマンゾウ」で有名なハインリッヒ・エドムント・ナウマン(東京大学地質学教室の初代教授)など、日本の地質学の黎明期に多くの研究者が訪れたことから発祥の地としたそうですが、こういうのは言ったもん勝ちですね(´∀`*)
(ナウマンゾウに関してはこちらの記事もぜひ)
そして、博物館から観光地として有名な「長瀞」までぼちぼち歩いて見に行けます。
右手の岩石は、四角い割れ目がバキバキ入る外見のため「岩畳」と呼ばれています。
この岩畳は「結晶片岩(けっしょうへんがん)」と言って、地球の深いところで強い圧力を受けてできたものです。
どれぐらい深いかというと地下20~30㎞。
そんなものが地表で見られるのは珍しいので、長瀞は「地球の窓」とも言われています。
「地球深部をのぞける窓」へのざっくりした道のり。
この日は「長瀞ラインくだり」が、川の水位が低いためにドッパンと迫力のあるくだりではなく、短い遊覧に変更になったためか、静かな船着き場でした。
エアーでラインくだりのポーズをとってみましたが、客は漕ぎませんね。
最後にたどり着いた長瀞駅も、駅名板のフォントに味があってすてきでした。
(フォントに関する話はこちら)
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ちなみに、秩父鉄道の駅にあったフリーWi-Fiのイラストが秀逸(´∀`*)
SLの蒸気がWi-Fiマークを作っています。
「都心から一番近いSL」といううたい文句のパレオエクスプレスは、3月末から12月中旬の土日をメインに運行していますので、太古の海水浴へ出かける際にお使いください。
熊谷駅に後ろ向きで登場のパレオエクスプレス(by Yoshiyuki Tamura)
「パレオエクスプレス」に乗りたかった理由は、その名前。
「パレオパラドキシア(Paleoparadoxia)」という化石にちなんでいるからです。
パレオパラドキシアは約1500万年前に生きていたほ乳類で、日本で一番この化石が見つかっている場所が埼玉県です。
見た目はカバみたいですが、「海苔巻きを束ねたような」歯が現在生きている動物にはないこともあり「奇獣」とも言われています。
パレオパラドキシアの歯。
色々な動物と似ているようでなんかちょっと違うことから、「太古の(パレオ)矛盾(パラドックス)」という名前がついています。
パレオパラドキシアの骨格標本。
こう聞くとかっこいいですが、「なんじゃこの生物!」という気持ちがにじみ出ている感じがします。
一般的にはティラノサウルスのような知名度はありませんが、この仲間の全身骨格は日本以外からあまり見つかっていないので、海外の研究者が日本に来たら見てみたい化石ナンバーワンとも言われています(以前の職場で、この仲間のデスモスチルスを特別展示したことがあります)。
そんな玄人好みの古生物をSL名にチョイスしたことにしびれます(´▽`*)
パレオエクスプレスの中は茶色の壁面と赤紫色の座席シートでなかなかシック。
ほとんどの人が降りた秩父駅を過ぎてから撮影したので、この写真はすいていますが。
ちなみに、「パレオエクスプレス」という名前ですが、時速20~30㎞でのんびり進みます(笑)。
スマートフォンのアプリで時速を計測。
パレオ(古代の)エクスプレスですからね...。
途中、武甲山(ぶこうさん)から採掘した石灰石を熊谷に運ぶ列車と何度もすれ違いました。
武甲山は太古のサンゴなどが作った石灰岩でできています。
採掘の跡の縞々が見える武甲山。
そして採掘された石灰石はみなさんのお近くにあるセメントの原料になります。
現在は海のない埼玉県ですが、そこここに太古の海の痕跡を見ることができます。
ちなみに、SLは埼玉県立自然の博物館の最寄駅「上長瀞(かみながとろ)」には停車しないので、妙にかわいい名前の「御花畑駅」まで行って、秩父名物「豚みそ丼」を食べて普通の列車で戻ってきました。
花ではなく、濃い味でとまらず10分で完食の「豚みそ丼」をいただく。
そして、戻る電車がラッキーにも「秩父ジオパークトレイン」。
アケボノゾウ(約150万年前に生きていたゾウ)やカルカロドン・メガロドン(約1000万年前に生きていたサメ)など、秩父から見つかった化石の復元図でラッピングされています。
電車の中に入ると、天井や壁にも絵がありました。
天井にも太古の海が描かれています。
これらの化石について、小学校低学年にもわかるような説明が書いてありました。
古生物好きにはたまりませんね(´▽`*)
秩父は地形や地質を楽しめる「日本ジオパーク」の一つとなっています。
「ジオパーク」は地質景観や自然を守るだけでなく、その土地の歴史や人の生活もひっくるめて教育や観光に活かしていくこと目的としているのが特徴です。
そんなわけで、鉄道含め地域で盛り上げている様子が伺われました。
パレオエクスプレスよりずっととばすジオパークトレインで上長瀞駅に到着。
そこから歩いて5分のところに埼玉県立自然の博物館があります。
シルバーの背景にカルカロドンの絵がカッコいい博物館の看板。
最初に紹介した、パレオパラドキシアやカルカロドンの標本がありました。
埼玉県で見つかった、全長12mにもなるビッグなサメの歯。
他にも「チチブサワラ」という約1500万年前に生きていたサワラのなかまの化石もありました。
マグロみたいに大きいですね。
写真の手前が化石なのですが、なかなかしっかしりた骨でした。
地質の展示が充実している博物館でしたが、「さわれるはく製コーナー」もあり、視覚障害を持っている方でも楽しめそうです。
イノシシやタヌキのはく製にさわれます。
お持ち帰りできる解説リーフレットや館内でできるクイズ、館外含めてのスタンプラリーなどカラーでたくさんの種類が用意してあり、特に興味のない方にもテンションが上がるようになっていました。
博物館の前には、えらく立派な「日本地質学発祥の地」の石碑が。
こんなところで写真を撮影するのは地質屋だけでしょうけれど。
「ナウマンゾウ」で有名なハインリッヒ・エドムント・ナウマン(東京大学地質学教室の初代教授)など、日本の地質学の黎明期に多くの研究者が訪れたことから発祥の地としたそうですが、こういうのは言ったもん勝ちですね(´∀`*)
(ナウマンゾウに関してはこちらの記事もぜひ)
そして、博物館から観光地として有名な「長瀞」までぼちぼち歩いて見に行けます。
右手の岩石は、四角い割れ目がバキバキ入る外見のため「岩畳」と呼ばれています。
この岩畳は「結晶片岩(けっしょうへんがん)」と言って、地球の深いところで強い圧力を受けてできたものです。
どれぐらい深いかというと地下20~30㎞。
そんなものが地表で見られるのは珍しいので、長瀞は「地球の窓」とも言われています。
「地球深部をのぞける窓」へのざっくりした道のり。
この日は「長瀞ラインくだり」が、川の水位が低いためにドッパンと迫力のあるくだりではなく、短い遊覧に変更になったためか、静かな船着き場でした。
エアーでラインくだりのポーズをとってみましたが、客は漕ぎませんね。
最後にたどり着いた長瀞駅も、駅名板のフォントに味があってすてきでした。
(フォントに関する話はこちら)
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
ちなみに、秩父鉄道の駅にあったフリーWi-Fiのイラストが秀逸(´∀`*)
SLの蒸気がWi-Fiマークを作っています。
「都心から一番近いSL」といううたい文句のパレオエクスプレスは、3月末から12月中旬の土日をメインに運行していますので、太古の海水浴へ出かける際にお使いください。
コメント
コメント一覧 (8)
そうなんですよね。
意外と秩父鉄道沿線は見どころが多く、日帰りでは駆け足でしか巡れませんでしたので、また行きたいと思います(*´∀`*)
本当に大変ですね。
未来を生き抜くためには、多様な視点があるといいんじゃないですかね〜( ´∀`)
ゆっくり旅行に行ってくださいな(о´∀`о)
ありがとうございます。
10年ぐらい前に姉からもらったおさがりをはいてます(笑)
(子供の影響が大きいですが)
言いづらい名前だなあ
と常々思ってましたが
太古の矛盾のおかげでスッキリです
化石の名前は呪文みたいで、言いにくいですよね。
スッキリならば良かったです(^O^)/