「国際地学オリンピック」なるもののお手伝いでフランスに行く機会をいただきました(国際地学オリンピックに関してはこちらの記事もどうぞ)。
夏に「ニース」や「コートダジュール」に行ったなんて話をすると、猛烈に羨望の眼差しを向けられるのですが、死ぬほど暑くて、十年以上ぶりにクッキリハッキリの時計焼けを作りました(アラフォーには厳しい)。
送り出す人は「ヨーロッパは日本より過ごしやすいよ」なんて言っていたけど、塩をかけられたナメクジみたいに過ごしていました。
それはさておき、自由時間に一人でカンヌ沖の小島にある「海事博物館(Musée de la Mer)」に行った時のこと。
博物館の外の史跡を見学していたのですが、やたら広いし案内看板が見つけられなかったため、「トイレはどこでしょう」と、そこで働いているらしき人に聞いてみたところ、英語が通じない。
聞かれた人が、次々と違う人を呼びに行くのですが、みんな私が何を言っているのか分からない。
「そんなに私の英語が下手かな~」などと思っているうちに、結構な人だかりになってしまいました(-_-;)
そしてとうとう英語が分かる人がやってきて、「なんだ、トイレどこだってよ」とみんなに伝えると、一同「な~んだ」という感じ(-_-メ)
最近、観光地ではだいたい英語が通じてしまうので、「やっぱりフランスはこうでなくっちゃ!」と妙に感動しつつも、「トイレはどこですか」ぐらいフランス語で覚えておけよと自分ツッコミ(/ω\)
日本人らしく(?)、ペコペコしながらトイレに向かい、その場は解散となりました(みなさま、ご面倒をおかけいたしましたm(__)m)
以前の記事「言葉以外で伝えるには?ーインバウンド対策と博物館」でも書きましたが、「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」というと、車椅子を利用している人など、身体に障害を持つ方を真っ先に思いつくかと思いますが、言語もバリアの一つです。
言語以外で伝える方法の一つには「絵文字(ピクトグラム、シンボル、サイン)」があります。
大学で見かけたトイレを案内するフルコース(絵文字、点字、12言語で表示)。
街中で使われている絵文字(案内用図記号)は、JIS規格になっているものもあり、博物館の施設面では、すでにこれらに類似したものが使われているかと思います。
今回は、子どもたちへの「事前案内」や「ワークショップ」などソフト面に、とっても使える絵文字をご紹介。
「ドロップス(Drops)」という長野の特別支援学校の先生方が作られた絵文字です。
(DropsはThe Dynamic and Resizable Open Picture Symbolsの略)
(Droplet Projectのホームぺージより。)
子どもたちが親しみやすく、かつパッと見て分かりやすい絵で、様々なシチュエーションが用意されています。
障害を持つ方の中には、文字や言葉より絵や写真の方が得意な方がいて、この絵文字を使うことでより伝わるコミュニケーションをすることができます。
そして、特別支援学校ではよく使われている絵文字なので、博物館やイベント会場という「特別な場所」でも不安にならず落ち着いて行動することができるようになります。
こう聞くと、特別な対応の時だけ用と思われてしまうかもしれませんが、この絵文字、障害を持っていない子どもたちにも、よく伝わるツールなんです!
今日の予定などを話す時に、言葉だけでの案内だったのをこの絵も見せて話したり、パワーポイントの文字だけのところにこの絵を入れるだけで、子どもたちの理解が随分と違ってきます。
さらに、かわいい絵なので子どもたちも気分が上がるらしく、おおいに盛り上がります!
障害を持つ人や日本語を母語としない人のため(バリアフリー)と思ってやっていたことも、実はみんなに伝わりやすい方法だったと気が付かされました。
ドロップスは、無料でダウンロードできるものもありますので、ぜひのぞいて見てください(見ているだけでウキウキします)。
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最後に、イタリアのローマ・テルミニ駅で見た絵文字をご紹介。
「背中側にあるショルダーバックからの盗難に注意」の絵文字。
「(前の人に気を取られて)後ろ手に引くキャリーバックの盗難に注意」の絵文字。
「チケットなしで電車に乗るのは(無賃乗車)お断り」の絵文字。
「電車内で、上の棚から荷物を上げ下げしている時、座席の物の盗難に注意」の絵文字。
「電車内で、脱いだ上着をかけておいた場合、その中に入れた財布の盗難に注意」の絵文字。
あまりに細かいシチュエーションがあって、何が言いたいのかパッと見わからなくなってしまっていますが、「どんだけ治安悪いんだよ!」ということだけは感じさせます(この絵文字を解読している間にスリにあいそう...)。
もちろん絵文字さえあればいい、というわけではないですが、文字だけに頼らない方法も試してみてはどうでしょうか(フランスにドロップスを持っていってたら、絶対伝わっただろうなぁ)。
コメント
コメント一覧 (2)
爆笑!
もはやピクトグラムなのかただの看板なのか!
いやー興味深かったです!
それにしても、フランス人は英語でトイレも知らないのですね、それぐらいは知ってるだろうという先入観が見事に打ち砕かれました。
ためになった。
_φ(・_・ メモメモ
普通に日本語で「トイレ」と言った方が伝わった可能性大です(-_-;)
英語では、大人は「トイレ(toilet)」と言わない、という教えに従い、「バスルーム(bathroom)」「レストルーム(restroom)」「レディズルーム(ladies' room)」と色々言ってみたけど敗北しました。
イタリアン絵文字をお気に召していただいて嬉しいです。
スターウォーズだけでなく、「サイン」も好物なので、出かける先で観光名所よりそっちの写真ばかりを撮っており、妙なアルバムが出来上がっています(個人的にはウハウハですが)。