数年前のことで恐縮ですが、学生の頃からずっとやりたかった夢がかないました。

それはコレ。

聖路加

病院内学級での授業です。

これが私の夢になったのは、とある院内学級に関するドキュメンタリー番組を見たのがきっかけです(15年以上前の深夜の短い番組だったので、探すのですが見つからず)。

病気でずっと入院している子どものために、院内学級を作ろうと奮闘する親御さんの話でした。

親御さんがそのことを医師に話すと、「あの子はもうすぐ死ぬのにどうして教育が必要なのか?」と言われたとのこと。

まだ学生だった私の頭にもガツーンときました( ゚Д゚)

それならみんな明日死ぬかもしれないのに、なんで教育が必要なんだと。

それ以来、「誰かのために」というより、その問に反抗したくて「明日死ぬとしても受けるべきものが教育だ」と勝手に鼻息荒くしていました( `ー´)ノ

鼻息荒くした割には、10年以上も勇気もチャンスもなく放置プレイをしていたのですが、たまたま知り合った先生が院内学級の担当で、私の専門が化石とお話したところ、ゲストティーチャーとして来てくれないかとのこと。

わーお!!こんなことがと、喜んで行かせていただくことにしました。

その後、冷静になると、実際に彼らは化石のあるような(険しい)山へは一生行けないかもしれないのに、山に行った話とかするのはどうなのかなと思ったりもしました(まぁ健康な人でもそんなとこに行く人は少ないですが...)。

野外

でも、私だって宇宙には行けないけれど、そのことを教えてもらえないのはおかしいと考え直していざ出陣。

病棟内には、土や生き物など、消毒されてないものは持ち込めないとのことで、化石を持ち込むのも先生を通して病院と相談しながらだったため、できなくなるのではと少し冷や冷やしましたが、なんとかOK。

学校への出張授業のように、実物標本にさわってもらったり、石膏でレプリカを作ったりしました。

レプリカ(テキスト入り)

途中、医師や看護師の方ものぞきにきて、「何やってるんだ~?楽しそうだな~」と優しく声をかけていくなど、十数年来の私の気負いに反して、授業は和やかな雰囲気でした。

ただ、たった2時間程度の中でも、治療で遅れて来る生徒や、点滴などの時間で抜ける児童もあり、作業の途中で残念そうにいなくなる子どもたちを見ながら、いつもの授業と違い、やっぱり闘病の中で学ぶのは簡単ではないと思い知らされました。

片付けを終えて帰ろうとした時に、体力が持たずに途中で病室に戻ってしまった児童が私を呼んでいるというので行ってみると、一緒に写真を撮らせてほしいとのこと。

ベットサイドでアンモナイトと一緒に写真を撮りました。

お涙頂戴の話はしたくないですが、後日みんなからもらった感想に顔の堤防決壊(/ω\)

院内学級化石の授業感想

「今日は、化石の事を教えていただきありがとうございました。
化石をさわれたことが一番うれしかったです!
今日教えてもらったことは忘れません。
もっと知りたいことがあったので、また来てください!
アンモナイトLove♡」


化石をやっていて、そのことを教えられるようになって、良かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁとのたうちまわりたい気分でした。

逆に「私の方こそありがとう、絶対忘れないよ!」と叫びたかったです。


私と同じく一歩が踏み出せない方が、うりゃと飛び込むきっかけになればと思い、柄にもなくヒューマンドラマのような思い出話を書いています(-_-メ)

そして教育関係の方であれば、10年以上もチャンスを待っているような人(?)も多分いるので、ためらわず博物館関係者にも声をかけてください。

それは「子どもたちのため」だけでなく、逆に「大人の夢」もかなえてくれるかもしれないのですから。

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ちなみに、ユニバーサルデザインに熱心に取り組まれている葛西臨海水族園(東京都)では、病院や特別支援学校など、来園が難しい方のところに、水族館がずずぃと出向く頼もしいトラックをお持ちです。
東京都内だけですが、「博物館も何かしたい!」と思っている、というご参考まで。
葛西臨海水族園「移動水族館」