昨秋、大阪で全国の視覚障害を持っている方に化石の講座を行いました。

当日の様子は、毎日新聞の点字版「点字毎日」の「4しょく会、秋のイベント 古生物に思いはせる 化石を触り、作る一日に」に取り上げていただいたのでよかったらご覧ください。
化石にさわるイメージ
普段あまりふれることのない化石をさわったり、レプリカを作ったりすることで、みなさん古生物の世界に大変興味を持ってくださり、とても喜んでくださったのですが、私の一番の衝撃はあらぬ方向に。




それは、これまでの人生でありえないぐらい「モテた」ということ。




多くの方から「声がいい♡」と大絶賛(爆)

自分の声ってそんなに好きではなかったのですが、「ラジオ番組に推薦したい」とまで言われ、アラフォーになるまで誰にも言われたことなかった魅力発見!という感じヽ(^o^)丿
ラジオのイメージ写真
一応、学芸員だった際にラジオ講座の講師をしたことはあったりしますが。

ちなみにこのように書くとすごく期待されそうですが、いわゆる「かわいい声」ではありません。

元々声はでかいのですが、今回は参加者が50名とかなり大人数だったため、声を張り上げていたので、近くの人はうるさくて嫌かなとも心配していたぐらいです(^▽^;)

そして、みなさんのコメントによれば、よく通る(聞きやすい)声のようです。


ついでに、「カツ、カツ、カツって近づいて来る時の靴音がカッコいい!」とも(笑)
スペインのフラメンコ
本場スペインで観賞したフラメンコ。怖いぐらいの迫力でした(本文と関係なし)。

講義中、テーブルにまわってみなさんの考えなど聞いたりしていたのですが、そんなことを感じていたとは全く想像していませんでした。

「博物館教育論」などを大学で教えている際、講義終了後に印象に残ったことを学生に書いてもらったら、「先生のブーツ(オシャレ)」と書いてあって、「どこ見とんねん!」と力が抜けたことがあるのですが、今回は「どこ聞いとんねん!」という感じでしょうか(^▽^;)
ブーツの画像
視覚障害の方を含め、小中学生向けの講座だと、ほとんど講義(化石)の内容の感想なのですが、大人になると逆にフリーダムですな(^▽^;)(小中学生向けに講座をしている話はこちらの記事もどうぞ)


様々な視点を持つ方と出会うと、自分では全く思いもよらなかった魅力を見つけてもらえるものだな、と目からウロコな出来事でした。


今回、アンモナイトの殻のレプリカを作り、その軟体部(柔らかい部分)を「暮らしていた場所」や「似た種類の現在生きている生物」等を参考にして、みなさんに粘土で作ってもらいました。

このようなワークショップをすると、参加者の多くは「アンモナイトの復元画」を教科書や本などどこかで「見たことがある」ので、どうしてもそのイメージに引きずられて同じようなものを作りがち。
イカの足のようなアンモナイトの復元模型
しかしながら、軟体部は世界中でまだ見つかっておらず、実際にはどのようなものか分かっていません。

今回の参加者がつくるアンモナイトの復元は、これまでにない発想のものばかりで、とても刺激的。
アンモナイトの軟体部の復元

教科書に書いてあることをなぞって覚えるのではなく、これまでと違う視点があってこそ、科学は発展するのですから(視覚障害を持つ科学者の話はこちらの記事もぜひ)。


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パワーポイント頼みの昨今、言葉だけで説明すると表現力も磨かれます。

メキシコの作家によるオシャレな絵本。

「くろは おうさま」、メネナ・コティン 作、ロサナ・ファリア 絵、2019年

「色」を言葉で表現した絵本です(点字つき)。

真っ黒な絵本にシンプルな文章、なのにそこには豊潤な世界が広がります(「さわる絵本」に関してはこちらの記事もどうぞ)。

(視覚に障害がある方(全盲)は、全員が真っ暗な世界ではなく、真っ白な方もいます。)