和歌山県の白浜と言えば...

そう、パンダ。
ヘッドレストがパンダの顏の電車のシート
(運行時間が日によって違うため)なかなか乗られないので真相は定かではありませんが、特急「パンダくろしお」はこんなヘッドレストなんでしょうか(2020年3月14日より定時運行になるとのこと)。

非常時も、パンダ。
電車のドアに示された避難方法もパンダが説明
電車のドアに貼られた避難誘導も例がパンダ(この避難誘導に関してはこちらの記事もどうぞ)。

何でも、パンダ。
駅のホームのマンホールがパンダ柄
駅のホームのマンホール(?)をパンダの絵にしている。

隙あらば、パンダ。
改札が有人だった時の場所にパンダのぬいぐるみが押し込められている
有人改札だった時、駅員が立っていた場所にパンダのぬいぐるみがぎゅうぎゅうと。

次元を超えて、パンダ。
鐵道むすめという各駅のキャラも「一番好きな動物はパンダ」
アニメキャラ化された駅員「黒潮しらら」さんもパンダ推し。

町全体が、パンダ。
「パンダのまち白浜」と書かれた駅前のパンダ像
駅前のパンダ像の下の「PANDA TOWN」って英訳におののく(^▽^;)

このように、白浜町にはパンダが6頭(2020年1月)もいる「アドベンチャーワールド」があるので、パンダ一色。

ついでにアドベンチャーワールドには、水族館の鉄板人気動物であるイルカやペンギンもいる。


てなわけで(?)、大英博物館やスミソニアン博物館と違い、あまり耳目にすることがないミュージアムやアプローチに気合がいる博物館を「秘境博物館」として勝手に紹介しておりますが、今回はアプローチの大変さというより、このようにビッグなライバル施設(?)がご町内にあり、しかも「京都大なのに、和歌山なの?」と必ず思われているであろうため、認識的な秘境感があるので「京都大学白浜水族館」をご紹介。


新大阪駅から特急で約2時間30分のJR白浜駅から1時間に1本ぐらいのローカルバスで約20分+徒歩5分。しかしながら、南紀白浜空港が町内にあったりするので、東京(羽田)からは時間的には案外近いかもしれません。

白浜町でもめっちゃ突端にあり、島に夕日が落ちる景色が有名な「円月島(えんげつとう)」がすぐ横。
京都大学白浜水族館と円月島
円月島(写真左)は、中央に波で浸食された穴(海蝕洞・かいしょくどう)が貫通していてユニークな形。


大学附属の「水族館」はなかなかレアですが、1930年から一般公開しているとのことで歴史は長い。
水族館の歴史のパネル
博物館はどんな時も続けて、未来に情報を残していかなきゃですからね。

元々というか、今でも臨海実験所なので、白浜周辺の生き物を展示しており、どうしても「派手さ控えめ」になってしまうのですが、昨今の「甘さ控えめ」ブームのように(?)、じっくり見るとそれはそれで素材の味(?)の趣があります。
オカヤドカリが砂の上を歩いた跡が模様になっている
「オカヤドカリ」が修行僧のように無心に(?)砂紋を描いておりました。

化石屋的には、地層に昔の生き物の歩いた跡が残っている(生痕化石・せいこんかせき)のも研究したりするので、このような跡を見るとどうやってできるのか気になってしまいます(生痕化石についてはこちらの記事もよかったら)。

「ムラサキオカヤドカリ」の歩みが作るキャタピラーのような跡。見ていると心が無になっていい。


しかしながら、これじゃあ「渋すぎだよ」って方には、こちら↓
ピンク色のテヅルモヅル
「テヅルモヅル」はヒトデの仲間ですが、「なんでこんなにクルンクルンしちゃったの??」と生命の不思議を感ぜずにはおれない生き物です。

そしてこちらは「ヤドカリ」の殻にくっつく「イソギンチャク」。
殻にイソギンチャクをつけたヤドカリ
目をこらせば、白浜の海だってゴージャスだぜ。

ちなみに、ヤドカリを食べるタコがイソギンチャクの持つ毒が嫌いなため、殻の上にボディガードとしてのせているとのことなのですが、ヤドカリがお引越しされる(殻をかえる)際には、殻につけているイソギンチャクもちゃんとお引越し先(新しい殻)に連れていくとのこと(;゚Д゚)


このように一つ一つの水槽に生物の不思議がつまった解説シートが置いてがあるので、生き物好きはあっという間に牛の歩みになること請け合い。
水槽の脇に置かれた脱皮に関する解説シート
「(節足動物は脱皮をすると)新しい体は古い殻よりも小さくなってしまうのではないでしょうか?」
素朴な疑問というのは、案外答えを知らないことが多いと気づかされます。


そして、地味ならとことん、さらに小さい生き物を集めた「海の小さな動物たち」というコーナーもあります。
海の小さな動物たちというコーナーの看板
「水族館で展示されている生き物の多くは、観察しやすい大型の動物です。しかし、海の中には生体になっても数センチ程度や、それ以下の小さな動物が非常に多く住んでいます。この水槽では、そのような小型の動物たちを展示しています。」とあり、華やかな生物に隠れてしまい、いつもなら見過ごしてしまうものたちひとつひとつに目を向けることができます(水槽に拡大鏡がついています)。


そして、壁際には椅子があり、監視員用の椅子かと思ったら、来館者が使っていいとのこと。
じっくり観察したりスケッチしたりするための机付き椅子
本格的にスケッチできる机付き!

以前書いた、観音崎自然博物館の記事でもふれましたが、辺鄙な場所地方にある館は、じっくりゆっくり生物と向き合えるのが良いところ。

水槽はそんなに高めなわけではなかったですが、子ども用の踏み台も無料貸し出ししています。
貸し出ししてくれる子ども用踏み台
これを自分で持って歩いて、水槽前で手慣れた手つきで広げて見学している子どもさんも。

お正月だったこともあり、祖父母と親、孫という三世代グループも結構見られました。

そして、祖父母や親より子どもの方が、生き物をよく見つけて、よく知っているという「博物館あるある」をそこここで見ることに(´▽`*)


また、春・夏・冬休みの期間中は毎日開催している「解説ツアー」や「バックヤードツアー」は、研究者や飼育員、それぞれの専門でお話が違うので、好きなジャンルがあればホームページで確認してからお出かけするといいかもしれません。

バックヤードツアーにて水槽を上から見学。人が近づくとエサをくれると勘違いして、「ハコフグ」が口から水を必死に噴射しまくる様子(「海底の餌を食べる時に砂を吹く」という行動の名残なのか?とも考えられますが、はっきりとした理由は不明とのこと)。


ナマコの持つ毒が人間の水虫に効くことや、ヒトデの目は腕の先にあるなど、40年ほど生きていてもまだまだこの世界はワンダーに満ちている!と感じることばかり。
腕先ににあるヒトデの目
ヒトデはそれぞれの腕の先に目があるとのこと(*´ω`*)

バックヤードツアーでは、白浜で見つかる貝や海綿なども触れるので、視覚障害をお持ちの方にもおすすめです(視覚障害と水族館の話はこちらこちらもどうぞ)。

年中無休で開館しているので、「思い立ったら吉日」でお出かけできますよ!≡≡≡ヘ(*゚∇゚)ノ
壁にくっつくコバンザメ
何故みんな廊下に立たされているみたいなんだろうと思ったら...「コバンザメ」でした(^▽^;)


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白浜町は、パンダと水族館以外にも、「温泉」や「きれいなビーチ」、「魚の市場」など結構見どころ、遊びどころが満載。
5言語対応表記のバス停
めっちゃのほほんとした場所なのですが、関西国際空港のインバウンドなのか、バス停は5言語対応かつ地下鉄みたいに「s-54」とわかりやすいように番号で表示。

個人的には、以前ご紹介したもう少し南にある串本町とあわせて「南紀熊野ジオパーク」となっているので、ご近所の地質なんかもついでに見てもらえたら的な感じはあります。

バスを待つ間にも、そこに立っているだけで、目の前の崖に「ハンモック状斜交層理(しゃこうそうり)」を見ることができます。
ハンモック状斜交層理が見える崖
ただの崖にしか見えないと思いますが、地層が斜めに交差していて、昔の浅い海で嵐が起ったことを示しています。

これこそ地味すぎてスルーだと思いますが、約1500万年前の海にもちらりと目をむけていただければ幸いです。
梅塩ポテトチップ
ゆるジオならぬ「梅塩(ジオ・GEO)」だそうです。先に紹介した「円月島」がセンターなので、おみやげによかったら。