ミュンヘン古生物学博物館(Paläontologisches Museum München)」に行きました。



繁華街や大通りから少し入った静かな場所にあります。
周囲となじむ博物館の建物
大きな看板はなく、周囲になじんでいて入っていいのか少し迷います。

この建物は1902年にできたとのこと(建てはじめは1899年)。
今とほぼ変わらない昔の建物外観
第二次世界大戦の爆撃により上部が壊れたものの、ほぼそのまま健在。

1930年の内部の写真もありました。
1930年の建物の中の写真
この館のコレクションのルーツは1759年まで遡るそうですが、ほとんどの標本が1944年の爆撃で焼失し、1950年にこの建物に移転してきたとのこと。

その後、猛烈に標本を収集しなおし、現在は同じ建物内にある「地質学博物館」とあわせて250万点以上の標本を持つまでになっているそうです(日本の国立科学博物館の地学のコレクションは2018年で約30万点)。
昔の写真と変わらぬ建物に翼竜の標本が飛んでいる
現在の館内。ほぼ昔のまま!な吹き抜けに化石がワイワイしています。

博物館と言っても、部屋の中は「研究室」や「講義室」で、展示は廊下や階段にあります(資料を保存して研究することを重視する博物館についてはこちらの記事もどうぞ)。
重厚な廊下に展示された魚類などの化石
部屋の外とはいえ、重厚な廊下や階段の壁に展示されていてなかなか雰囲気があります。

そんなわけで、博物館というより「魔法使いの館」に迷いこんだような気分も味わえたりします。
階段の壁に展示されたアンモナイト
元々の壁の装飾とマッチしたアンモナイト。

そして、これまで見たことなかった展示方法(?)はこちら↓
壁に埋まっている魚類化石標本
約1億5千万年前の軟骨魚類(サメのなかま)の化石(左下)と硬骨魚類の化石(右上)。何故こうなったのかわかりませんが、壁と一体になっています。

この「埋め込まれちゃった化石」が所々にあるのですが、アンモナイトいっぱ~いの標本の脇にはスイッチが!
廊下の壁に埋め込まれたアンモナイトの横にあるスイッチ
今時の博物館なれしてしまった者としては何か始まるのかと思い、ドキドキしながら押したら、大学の事務室前の掲示板みたいに、暗い廊下の上の蛍光灯が点くだけでした(そんなに化石が見やすくなるわけではない(^▽^;))。

1階ホールのデカもの化石の展示は改修中だったのですが、3階の廊下をぐるっと使った、この館にまつわる古生物研究史の展示がユニーク。
1795年から1827年の古生物研究史について展示されているケース
約250年前から始まるあたりにドイツの底力を感じます(脇に年表もあります)。

昔の標本ラベルや研究した論文の図版なども一緒に展示することで、雰囲気のある飽きのこない展示となっているのですが、一番気になったのは展示物の下。
砕かれた小石を敷き詰めた上に化石標本を展示している
灰色の小石を下に敷き詰めています。発掘現場を再現している展示ならこのようなものも見たことはあるのですが、展示ケースで論文等と一緒に、というのはあまりないので斬新だなと。

次の1827年から1862年についての展示。
1827年から1862年の古生物研究史の展示
「始祖鳥」の研究(写真右上)などもあるのですが、目が行くのは下!

展示されている化石の下に敷かれているのは...
アンモナイトを敷き詰めた上に標本を展示している
見やすいかはさておき(笑)、背景としてアンモナイトを使ってしまうあたりが、立派なアンモナイトがたっぷり出てくるドイツを見せつけてくれます(@_@)

次の1862年から1904年についての展示。
1862~1904年のケース
写真の一番右上は、なんと北海道産のアンモナイト。後に東京帝国大学の教授となる横山又二郎氏がドイツ留学中に記載(論文は1890年)したとのこと。

ドイツの館の歴史に日本のアンモが登場したことに驚きを感じつつ、地味に標本の下が気になるのですが、
薄く板状に割れる岩石を下に敷き詰めた展示
こちらは板状に割れる岩石を下に敷き詰めています。めっちゃいろんなことに興味があった学芸員(Karl Emil von Schafhäutl氏)の集めた標本。写真左は植物、右下は有孔虫(ゆうこうちゅう・単細胞生物)の化石。この方、古生物・地質学だけでなく、司書だったり、発明家だったり、音楽の批評家までやっていたと博覧強記、半端ない。

こんな感じでそれぞれのケースの下には別々の岩石が敷き詰められているのですが、最後の「2000年から現在」のケースでは、
2000年から現在の古生物研究史の展示
黒い砂が敷き詰められていました。

そして、壁には現在進行中(Work in progress)という標識が。
「現在進行中」と書いてある標識風の絵(絵は休憩している人)
絵文字(サイン)好きにはたまりませんな(世界のサインに関してはこちらの記事もぜひ)

他にも、「年代」ではなく「人」にフォーカスしたケースもありました。
昔の館長のフィールドノートや顕微鏡が展示されている
この館の館長でもあった、貝類化石の研究者Karl Alfred von Zittel氏(1839-1904年)の紹介。彼の論文やフィールドノート、顕微鏡を赤いビロードの布の上に配置し、当時の雰囲気を上手に伝えています。

このように、「ここの館ならでは」の展示があると、はるばる来たかいがあります。

廊下だけではありますが、結構情報量(説明文)がたくさんある展示のため、化石がお好きであれば、案外長時間楽しめます(主にドイツ語ですが、英語でもぼちぼち説明があります)。
中央の吹き抜けの周りに配置された展示ケース
中央の吹き抜けの周囲をぐるっと囲む展示。


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入館は無料。

最近、日本国内でも見るようになりましたが、「博物館への寄付をお願いする箱」が展示室に。
上げ底しているのが見える募金箱
全世界、どこの博物館もお金は足りていませんが、標本や資料、研究などの情報を未来に残し、そして広く伝えるべくいずこも奮闘しております(どこの館もお金がないことについてはこちらの記事もどうぞ)。