ありがたいことに、私はあまり大きな災害に遭ったことがありません(阪神・淡路大震災の時は新潟に、新潟県中越地震の時は千葉に、東日本大震災の時は福井に、昨年の千葉県の台風の時は海外と...)。

ただ、逆にどうなるのか想像だけなので、怖い気持ちは人一倍あります。

そんなわけで、東京消防庁の池袋防災館の「ナイトツアー」に行ってみました。
池袋防災館の外観
災害の疑似体験は各地の施設でもできますが、ここでは夜に起こったシチュエーションでの体験ができます。金曜日の夜に2回(17時からと19時から)開催しており、無料です。

2019年4月に内部がリニューアルされ、とてもきれいです(2019年5月に訪問)。
起震装置の上にお布団が敷いてある様子
昼とは違い、起震装置の上に旅館みたいにすでにお布団が敷かれていました。

私の時は、震度6強まで揺られまして...(最大の震度は子どもなど体験する人によって変わります)↓
 
頭隠して尻隠さずを見事に体現していますが、揺れている間は動こうと思っても動けませぬ。

他にも、暗いところで消火器を使う体験も。暗がりでの消火器訓練の様子
「博物館」という来館者のいる施設で働いていたため、「防災訓練」、「避難訓練」はよくやっていた方だと思いますが、手元が見えにくいところでの体験はなかなかありません(防災訓練に関してはこちらの記事もどうぞ)。

そして、消火器などの非常時のものは(ありがたいことに)ほぼ使わないため、操作を毎回忘れてしまうので、何度でも練習したいところです。

このような体験のできる全国の施設が、日経新聞の「地震・台風・火事… 楽しく防災知識学べる施設10選」(NIKKEIプラス1、2019年5月5日)で紹介されていましたので、百聞は一見(体験)にしかず、遊びがてらでも何でもいいので時々寄ってみるといいかもしれません(池袋防災館は7位にランクイン)。


また、各国の博物館でも色々な災害に関する展示を見ることがあります。

サンフランシスコにある「カリフォルニア科学アカデミー(California Academy of Sciences)」という博物館では、地質の展示とともに地震災害に関する展示がありました。
大きな地球儀の海嶺部分が裂けて入口になっている展示
大きな地球儀の中に展示があるのですが、展示の入り口が「海嶺(かいれい)」というプレートとプレートが分かれるところになっていて、中々凝っています(プレートについてはこちらの記事をよかったら)。

アメリカの西海岸には「サンアンドレアス断層」という大きな断層があるため、サンフランシスコは日本と同じく大きな地震が起こるところ。
サンフランシスコの地震が体験できる展示
1906年のサンフランシスコ地震(マグニチュード7.9)と1989年のロマ・プリータ地震(マグニチュード6.9)を家の中で体験しているような展示。部屋が揺れ、電灯などの家具も揺れて、窓の外では火災が起っている様子を映像で見ることができます。

この展示で「おぉっ」と思ったのは、このような体験やパネルで博物館が「伝える」というだけでなく、来館者の実際の体験をシェアできる場になっていること。
地震の体験と教訓をシェアする展示
「あなたの体験を教えてください(Share your story)」というコーナー。「あなたの地震の際の思い出は?」、「将来の大きな地震に対して、どんな準備が必要だと思いますか?」ということを来館者が書いたり、他の来館者の話を読むことができます。

そして私が見た時でも6年以上前なのですが、この博物館内のボードだけでなく、「地震トークオンライン(Quake Talk Online)」としてツイッターやフェイスブック上でも、みんなの体験を投稿できたり、公開していて、さすがアメリカだなと(現在は日本でもオンライン上での場を作ることはありますが)。
オンライン上での地震トークに関する案内
災害は次に起こるまでの間隔が数十年と長いことが多いため、博物館のスタッフであっても実感を持って伝えることができないこともあるかと思いますが、このように実際の経験者から伝えてもらうことで、誰にでも起こりえると感じることができます。

そして、パネルなどにしっかり書かれているような「フォーマル雰囲気」ではないところが、昔の出来事ではなく「(明日にでも起こるりえる)現在進行形のことなんだよ」という感じが伝わるようにも思いました。


また、スペインのグラナダにあるサイエンスパーク(Parque de las Ciencias)という自然科学博物館では「安全」に関する展示がありました(この博物館に関してはこちらの記事もどうぞ)。
オレンジ色と黒色でまとめられたデザインの展示室全体
自然災害だけでなく、自動車事故や家の中の事故など、ありとあらゆるものを扱っていました。

こちらは、工事現場を再現した展示。
工事現場を再現した展示
あまり中は見ることがないので興味深く。

また、スロープの滑りやすさについて、実際に試せたりします。
スロープの滑りやすさの体験ができる展示
私は滑らず歩けるけれど、他の来館者はメチャクチャすべっていたりと靴(底)の違いによっても違うということもわかります。

そしてなんと、「タイタニック号」の事故に関する展示まで!
タイタニック号の救命ボートについての展示
海難事故の代表格ですものね。

この中でも「おぉっ」と思ったのは、「この展示室の避難計画を作る」という展示。
避難プランを考える展示
タッチパネルの画面で、どこを非常口にすべきかなどを作っていきます。長いスロープや2階分吹き抜けのところがあったりと、博物館によくある迷路のような展示室でなので案外難しそうです。

パネルや動画で説明されるだけでは、かなり意識している人以外はスルーしてしまう思いますが、若い方が2人で楽しそうにじっくり体験している様子も見られ、惹きつけるものになっているところがステキ。

そして、「今いる場所」について自分で考えて作ることで、有事の際の行動も変わるだろうなと思わせる展示でした。


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博物館は、標本や資料を50年、100年、もっと先までも残していく使命があるので、災害などから守れるよう様々な対策をしています。

資料が水浸しにならないように、水を使わない消火設備など、一般の方には驚かれることがあるものも多いのですが、最近、私でも驚いたのはコチラ↓
民家の下に免振装置が入っている様子
野外博物館である「川崎市立日本民家園」では、屋外に展示されている日本民家の下に免振装置を設置しています。そして、周囲の道と隙間も作り、揺れた際に衝撃を受けないようにしてあります。

予算がなかなかとれないので、少しづつしか進められないけど地道に行っているとのこと。

あまり気が付かれませんし、事故などが起きた時ばかりクローズアップされてしまいますが、博物館自身も少ない予算で人と資料を守るために日々奮闘しております。