日本経済新聞の「幻聴妄想 かるたが語る」(2018年12月4日)という記事を読んで「幻聴・妄想かるた」なるものを知りました(登録すると無料で記事の続きを読むことができます)。
これは、世田谷にある施設「ハーモニー」(就労継続支援B型事業所)で、精神障害を持つ方々が、彼らを悩ます幻聴や妄想を「かるた」に描いたもの。
「若松組」なる地面を揺らす組織の話や、せっかく「悟り」を得たのにそのことを話すと精神科に入院になってしまう話など、狙ってないのに本や映画よりググッと引き込まれちゃうストーリー。
そして、「症状が大変な人ほど幻聴や妄想の体験は多く、人気者になれる」(施設長の新澤克憲さん)という逆転の発想がナイス!
「世界を変えたいなら、土俵(ルール)を変えなきゃ」とはまさにこのことだ!とおおいに感動( `ー´)ノ
そんなわけで、新年早々この「かるた大会」が開催されるという情報をキャッチしたので早速参加してみることにしました。
会場となったのはオサレ本屋「Readin' Writin'」(東京都台東区)。
本屋でウロウロするのが大好きな私には、これだけで気分あがります。
到着すると、スタッフの方の手作りにもかかわらず、北海道の高級昆布から一晩だしをとったという、家では味わえない上品なお雑煮がふるまわれ、さらに気分があがります(ハーモニーのFacebookにアップされている、お雑煮食べている写真はこちら)。
最初は、施設長の新澤さんから「幻聴・妄想」とはどんなものかについてのお話。
人間は誰しも真っ暗なところにずっといるなど極限状態になると幻聴・妄想(幻覚)が起こることもあるし、ソクラテスや宗教者などの「お告げ」というのは、幻聴や妄想である可能性があるとのこと。
「厄介な病気の症状」というイメージだったのですが、状況によっては誰にでも起こりそうだし、そして意外と歴史の中で大きな役割を果たしてきたということに目からウロコ。
そして、実際に幻聴がどんなものかを、当事者が「幻聴さん」になり、参加者が当事者となる設定で実演してくれました。
誰かと普通に話しているのに、相手が自分の悪口を言っている声が横から聞こえてきて、話しづらいし、とても辛い気分になってきます。
簡単な実演ですが、彼らの見えない大変さがガツンとわかりました。
そしていよいよ「かるた」が始まります。
絵札も当事者のみなさんが描かれたものなのですが、「赤い顏をした人の口から黄色い紐みたいなのが出ている絵」など、絵札を見ただけではいい意味で想像できないストーリーが展開していきます。
「は:歯車はガチガチだと動かない 少し余裕があって動くんです」
この哲学的な読み札の絵札はなんと「トイレの中で嬉しそうにお団子を食べている男性」の絵!
職場での様子だそうですが、このゆるいギャップがたまりません。
そして、このような札にまつわるストーリーを作者本人が解説してくれるのですが、話すまでの間があったりとすぐには進まないところが逆になんかイイ!
「宇宙人がゴミ捨て場にいる」話から、「誕生日までに死ぬはずだったのに、生きて病院の先生に手作りケーキでお祝いしてもらって、その後結婚もした」という感動の話まで、3行の読み札にギュギュっと詰まっている一人一人のエピソードに一気にファンになりました。
ちなみに、見事優勝し賞品としてポストカードもいただきましたよヽ(^o^)丿
施設の利用者の方が描いたパステル画。ほんわか~。
これらのストーリーはかるたとともに本として発売されていて、そちらで味わうこともできます(詳しくはこちら)。
そして、ご本人が解説くださるのもとてもいい雰囲気なので、ご紹介したようなライブもおすすめ。
近々では、2019年2月23日(土)、24日(日)の10時から16時にハーモニーで「お金をとらない喫茶展」が開催される予定です(詳しくはこちらをご覧ください)。
「店」じゃなくて「展」(絵も利用者のみなさんのもの)。
コーヒーや紅茶片手に参加者含めそれぞれのエピソードをおしゃべりするそうです。
その際には、「かるた大会」も行われるそうですので、よかったら(かるたは13時30分から)。
[追記:2020年2月15日、16日に「お金をとらない喫茶展2~イロイロを楽しむアトリエ~」が開催されるそうです。詳しくはこちらをご覧ください。]
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
そして後日、ハーモニーに当事者の方が毎週集まるミーティングにお邪魔させていただきました。
外にあった看板はオサレ風だったのですが、中はバーと回転すし屋だったところを改装したということで、謎の小部屋(昔の厨房)などがあり、カオスな魅力を放っています。
黒い合皮のソファとか隅の寝られる場所とか、私が過ごした大学(理学部地質科学科)の中を思い出すノスタルジー。
「人を受け入れるところは、どこか混とんとしている」(出どころは失念してしまいました)というのを聞いたことがあるのですが、それを地で行く感じ...。
いつもきっちりとか整然と、というのを目指してしまうけど、優しさは違うところにあるのかもしれません(^▽^;)
そして、「幻聴・妄想」なんていうと思いっきりクレイジーなミーティングを想像しそうですが、結論からいうと、ものすごくフツーというか。
話を聞いていると、どちらかというとブラックな職場など、社会の方がおかしいよな~と思うことが多々。
ちょっとテーマはそれますが、ホームレス支援に関して「そもそも復帰したい社会であるか」が問われている、というのを読んだことがあります。
「「助けて」と言える国へ」、奥田 知志 ・茂木 健一郎 著、2013年
精神障害者に関しても、治らなくてはいけない、社会に適応しなくてはいけない、ではなく、そもそも社会におかしなことがあるんだよな、という視点を思い出させてくれます。
そうは言えども、すぐには環境は変えられないので、どうしたらちょっとでも折り合いをつけてやっていけるか、経験者などお互いにアドバイスして進んでいきます。
アドバイスも「病気だけどこうして乗り越える」という特殊なものではなく、誰にとっても人生なんとかやっていくのにヒントとなることがたくさんで、私自身すごく沁みる時間でした。
ハーモニーの目指す「いたずらに人を評価しない場所、人に評価されない場所」という考え、誰にとっても必要で、いつも忘れないようにしたいです。
これは、世田谷にある施設「ハーモニー」(就労継続支援B型事業所)で、精神障害を持つ方々が、彼らを悩ます幻聴や妄想を「かるた」に描いたもの。
「若松組」なる地面を揺らす組織の話や、せっかく「悟り」を得たのにそのことを話すと精神科に入院になってしまう話など、狙ってないのに本や映画よりググッと引き込まれちゃうストーリー。
そして、「症状が大変な人ほど幻聴や妄想の体験は多く、人気者になれる」(施設長の新澤克憲さん)という逆転の発想がナイス!
「世界を変えたいなら、土俵(ルール)を変えなきゃ」とはまさにこのことだ!とおおいに感動( `ー´)ノ
そんなわけで、新年早々この「かるた大会」が開催されるという情報をキャッチしたので早速参加してみることにしました。
会場となったのはオサレ本屋「Readin' Writin'」(東京都台東区)。
本屋でウロウロするのが大好きな私には、これだけで気分あがります。
到着すると、スタッフの方の手作りにもかかわらず、北海道の高級昆布から一晩だしをとったという、家では味わえない上品なお雑煮がふるまわれ、さらに気分があがります(ハーモニーのFacebookにアップされている、お雑煮食べている写真はこちら)。
最初は、施設長の新澤さんから「幻聴・妄想」とはどんなものかについてのお話。
人間は誰しも真っ暗なところにずっといるなど極限状態になると幻聴・妄想(幻覚)が起こることもあるし、ソクラテスや宗教者などの「お告げ」というのは、幻聴や妄想である可能性があるとのこと。
「厄介な病気の症状」というイメージだったのですが、状況によっては誰にでも起こりそうだし、そして意外と歴史の中で大きな役割を果たしてきたということに目からウロコ。
そして、実際に幻聴がどんなものかを、当事者が「幻聴さん」になり、参加者が当事者となる設定で実演してくれました。
誰かと普通に話しているのに、相手が自分の悪口を言っている声が横から聞こえてきて、話しづらいし、とても辛い気分になってきます。
簡単な実演ですが、彼らの見えない大変さがガツンとわかりました。
そしていよいよ「かるた」が始まります。
絵札も当事者のみなさんが描かれたものなのですが、「赤い顏をした人の口から黄色い紐みたいなのが出ている絵」など、絵札を見ただけではいい意味で想像できないストーリーが展開していきます。
「は:歯車はガチガチだと動かない 少し余裕があって動くんです」
この哲学的な読み札の絵札はなんと「トイレの中で嬉しそうにお団子を食べている男性」の絵!
職場での様子だそうですが、このゆるいギャップがたまりません。
そして、このような札にまつわるストーリーを作者本人が解説してくれるのですが、話すまでの間があったりとすぐには進まないところが逆になんかイイ!
「宇宙人がゴミ捨て場にいる」話から、「誕生日までに死ぬはずだったのに、生きて病院の先生に手作りケーキでお祝いしてもらって、その後結婚もした」という感動の話まで、3行の読み札にギュギュっと詰まっている一人一人のエピソードに一気にファンになりました。
ちなみに、見事優勝し賞品としてポストカードもいただきましたよヽ(^o^)丿
施設の利用者の方が描いたパステル画。ほんわか~。
これらのストーリーはかるたとともに本として発売されていて、そちらで味わうこともできます(詳しくはこちら)。
そして、ご本人が解説くださるのもとてもいい雰囲気なので、ご紹介したようなライブもおすすめ。
近々では、2019年2月23日(土)、24日(日)の10時から16時にハーモニーで「お金をとらない喫茶展」が開催される予定です(詳しくはこちらをご覧ください)。
「店」じゃなくて「展」(絵も利用者のみなさんのもの)。
コーヒーや紅茶片手に参加者含めそれぞれのエピソードをおしゃべりするそうです。
その際には、「かるた大会」も行われるそうですので、よかったら(かるたは13時30分から)。
[追記:2020年2月15日、16日に「お金をとらない喫茶展2~イロイロを楽しむアトリエ~」が開催されるそうです。詳しくはこちらをご覧ください。]
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そして後日、ハーモニーに当事者の方が毎週集まるミーティングにお邪魔させていただきました。
外にあった看板はオサレ風だったのですが、中はバーと回転すし屋だったところを改装したということで、謎の小部屋(昔の厨房)などがあり、カオスな魅力を放っています。
黒い合皮のソファとか隅の寝られる場所とか、私が過ごした大学(理学部地質科学科)の中を思い出すノスタルジー。
「人を受け入れるところは、どこか混とんとしている」(出どころは失念してしまいました)というのを聞いたことがあるのですが、それを地で行く感じ...。
いつもきっちりとか整然と、というのを目指してしまうけど、優しさは違うところにあるのかもしれません(^▽^;)
そして、「幻聴・妄想」なんていうと思いっきりクレイジーなミーティングを想像しそうですが、結論からいうと、ものすごくフツーというか。
話を聞いていると、どちらかというとブラックな職場など、社会の方がおかしいよな~と思うことが多々。
ちょっとテーマはそれますが、ホームレス支援に関して「そもそも復帰したい社会であるか」が問われている、というのを読んだことがあります。
「「助けて」と言える国へ」、奥田 知志 ・茂木 健一郎 著、2013年
精神障害者に関しても、治らなくてはいけない、社会に適応しなくてはいけない、ではなく、そもそも社会におかしなことがあるんだよな、という視点を思い出させてくれます。
そうは言えども、すぐには環境は変えられないので、どうしたらちょっとでも折り合いをつけてやっていけるか、経験者などお互いにアドバイスして進んでいきます。
アドバイスも「病気だけどこうして乗り越える」という特殊なものではなく、誰にとっても人生なんとかやっていくのにヒントとなることがたくさんで、私自身すごく沁みる時間でした。
ハーモニーの目指す「いたずらに人を評価しない場所、人に評価されない場所」という考え、誰にとっても必要で、いつも忘れないようにしたいです。
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