イースター島にあるマタベリ国際空港は、基本的にサンティアゴ(チリ)とパペーテ(タヒチ)から飛んでくる飛行機だけなのに、滑走路の長さは南米で最大規模の3,318mあります。
イースター島の飛行場
そんなわけで、だだっ広い飛行場に一機だけしかない、という贅沢仕様。

かつて「スペースシャトル」の緊急着陸を想定してこんなに長くなっちゃったそうですが、実際に使われることはなかったとのこと。

島の端から端まで滑走路が直線にのびています。


イースター島はハワイの島々のように火山でできている島です(これに関してはこちらの記事もどうぞ)。そして、この島を形作った3つの大きな火山のうちのひとつが、この滑走路の南を占めるラノ・カウ山(Rano Kau、標高324m)。

直径が1㎞以上ある火口は、まんまるいくぼみとその斜面が崩れずに残っていて、いかにも「火口」という感じ(地図の水色部分)。
ラノ・カウ火山の火口湖
この火口に雨水がたまって火口湖(カルデラ湖)となっています。

縁から眺める景色は壮大ながらも、均整のとれた美しさがあり、かなりおススメ。
火口湖への斜面
写真では湖面に植物が覆っていてあまりきれいに見えないかもしれませんが。

そしてこのカルデラ湖は、川のないイースター島の水がめになっています。


ちなみに、イースター島のボトル入りの水にはこんな記載が↓
イースター島の雨水
イースター島の「雨水」(Rain water from Easter Island)という売り文句! 日本で生まれ育ったものとしてはあんまり「美味しそうな水」というイメージになりませんが、所変わればですよねヽ(^o^)丿


話は元に戻って、この火口の海側、オロンゴという場所では、モアイが作られていた時代より後の遺跡を見ることができます(モアイの話はこちらの記事をぜひ)。

入口にあるビジターセンター(Orongo Centro de Recepcion de Visitantes)には、ジオラマやパネルで説明がありました。
オロンゴビジターセンター入口
小さいながらオシャレなデザインの施設です。

この時代、島にいくつかある村の代表が集まってレースをして、その勝者の村のトップが「島の長」になる「鳥人レース」が行われていました。

「超人」の誤植じゃないです、「鳥人(バードマン)」です。

先ほどのラノ・カウ火山の海側の急斜面(高さ約300m)を下り、それから2㎞先の小島まで海を泳いでわたります。そして、そこに巣を作っている鳥(アジサシのなかま)の卵をとって、それを割れないように持って同じ行程を帰ってくる、トライアスロンみたいなレース。
崖と小島の関係が分かる模型
火口の崖と小島の関係がわかりやすい模型。

海の濃い青がすばらしい景色ですが、考えるだけで大変そうなレースです。
鳥人レースで向かう小島
写真ではあまり大変そうに見えないかもしれませんが、めっちゃ急斜面(崖)です。

この鳥人レースに関連して、鳥などが描かれた(彫られた)岩が見つかっています。
岩絵についての説明パネル
現代のアートにもありそうなかわいいデザイン。

歩いている時、遠目に岩絵かな~というようなものはいくつか見ることはできました。
遠くに見える岩絵
しかしながら、パネルの写真にあるような、くっきりはっきりした岩絵の実物が野外に見当たりません。

どこにあるのか現地のガイドさんに聞いたところ「博物館にある」とのこと。

すでにイースター島で一番大きい博物館には行ったけど1つしか展示していなかったので、「どこの博物館?」と聞くと、「世界の博物館よ、みんな持ってったのよ」とそれまでにない強い口調で返ってきました(イースター島の博物館の話はこちら)。

そう言われると、大英博物館(ロンドン)にもイースター島の遺物がドーンとありましたね。
大英博物館に展示されているモアイ像
大英博物館(ロンドン)にて撮影したモアイ。

大英博物館で見た時は「モアイだ~♡」なんて喜んでいただけでしたが、現地に行ってみると「略奪博物館」とまで言われるような文化財の帰属問題を急に実感。博物館屋としてしょっぱい気持ちになるとともに、現地に行くことの重みをひしひしと感じました。


ちなみに、イースター島の博物館によれば、ほんの少しですが、近年の返還運動によりアメリカなどから島に戻ってきたものもあるそうです。


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イースター島は隔絶された島なので、外来の動植物を持ち込ませないようにしている。

そんなわけで飛行機が着陸した後、人生で初めて見たのがコレ↓
機内で殺虫スプレーを散布
機内に殺虫剤を噴霧!

両手で上方にスプレーしながらも笑顔を振りまき、抜群の姿勢でスタスタと歩く客室乗務員さんの姿は、世にも奇妙な光景でした(@_@)

預けた荷物も殺虫剤をかけられ、蒸発するまで受け取れないので、しばし時間がかかるとのこと。

世界にはまだまだ未知の経験があるもんです。